「新世代スーパールーキー」・四千頭身
「最近キてるお笑い芸人さんは?」
「これから注目の芸人って誰?」
こう質問されたら私は確実に「四千頭身」と答えるだろう。
何よりこの四千頭身というトリオはあまりに見る人々の心を掴む才能と戦略を持ち過ぎているのである。
〇「四千頭身」とは?
(左から都築、後藤、石橋)
珍しい「三人漫才」という体制ながら去年は準々決勝まで進出。
「新しい波24」メンバーに抜擢後、後継番組である「AI-TV」のレギュラーにも選ばれるなど徐々にテレビ露出を増やし、
現在はFMFUJIにて冠番組「四千ミルク」、ニッポン放送で「オールナイトニッポン0」木曜パーソナリティを務めるなど
若者世代を中心に人気を集めるワタナベ期待のホープである。
4月に開催された第2回単独公演は何と発売開始30分で完売、追加公演まで決まる程の人気だ。
〇何故こんなに人気なのか?
さて、この三人は何故そこまで人々の支持と注目を得てやまないのか。
一人のファンとして考えた、この人気の理由を幾つか述べていきたいと思う。
①とにかく若い
現在お笑い芸人市場を悩ませている現象に「お笑い芸人高齢化」が挙げられる。
M-1グランプリに出場出来るリミットである芸歴15年を優に超した40近い芸人も売れていなければ「若手」と言われてしまうのが今の芸人界、
その上テレビのひな壇に上がれるのは空前のお笑いブームがあった数年前に生き残った「準中堅」芸人か
それ以前からずっとテレビに出続けている「中堅」「大御所」と
新たに売れる為にはキャッチーなネタひとつ当てて一発決めるしかないという非常に厳しい業界となっている。
そんな中2018年現在、驚くことに四千頭身三人は全員21才!
若い!若過ぎる!
その初々しさと汚い世界に染まりきっていない純朴さ、そして三人から感じる余裕と裏に潜ませたブレイクへの熱意と野望!
膠着状態とも言える今のお笑い界に一石を投じてくれそうな雰囲気満々の三人である。
既にこの若さから多くの芸人の注目を集めており、
先日放送された「ゴッドタン」にて「『こいつは天才だ!』と一目置かれている芸人」ランキングで栄えある2位を獲得している。
②とにかくトガった三人漫才の構成
YonTube(四千頭身公式チャンネル) - YouTube
四千頭身はたまにその人気から、所謂「顔ファン」しか居ないのではないかとあらぬ疑いを掛けられたりもするが決してそんなことは無い。
寧ろ私は三人の、というよりネタ書き担当である後藤拓実の才能がこの人気の一因だと考えている。
例えばこのネタなどによく表れているが、
彼の書く漫才は「よくある漫才の手法を根本から崩す」ようなネタが多い。
「ショッピング」では俗に言うコント漫才に移行をした後、通常同じ設定でいくつかボケを重ねる所を一つのボケで済まし次のお店へ行ってしまうという設定のムダ遣いが笑うポイントの一つとなっているのだ。
このようにネタは見た目以上に綿密に作り込まれており奥深い。
そして何よりもこの少しメタ要素も入ったネタ達はかつての空前のお笑いブームを学生で経験して来た四千頭身と世代の近い若者達の心を特に掴むのである。
お笑いを見てれば見てる程このメタ要素は強く笑いを引き起こす、そのため沢山の芸人達の沢山のネタを見てきた若者達に特に大ウケなのだ。
しかも、彼らの漫才はネタの内容だけではない。
スタイルそのものも大きな魅力なのである。
彼らは実に珍しい「三人漫才」を武器としている。
テレビでお笑い芸人を見て育って来た私にとって、今までまともに三人漫才を見た事のある芸人は我が家かジャングルポケットくらいだった。
その目新しさもポイントだが、彼らの醸し出す独特のユルい雰囲気は更に人々を惹きつけてやまない。
漫才と言えば関西風の鋭いツッコミがまず想像されるだろう、しかしこの大きな声でまくし立てるツッコミがあまり好きじゃないという人間が居るのは事実だ。実際私も根からの東京芸人ファンで大阪の芸人のネタはそれほど得意ではない。
四千頭身は後藤の行うボソッと突っ込むローテンションツッコミが見所だ。
他の芸人に見ない新し過ぎるネタの構成、
普段お笑いを見ない人でも笑える、尚且つ普段お笑いを見る人でも笑えるネタを作れる三人は売れて当然なのである。
(因みに筆者は現職のお笑い芸人に四千頭身の人気を顔と馬鹿にされた事があるためこの事実を強く推したい、彼らは売れるべくして売れているのだ!)
③とにかく三人のキャラクターが良い
四千頭身は同級生ではあるが幼馴染というわけでもなく、
ワタナベコメディスクールで偶然出会った三人。
トリオらしく三人それぞれ持つ魅力が違い、それぞれ非常に魅惑的なキャラクターをしているのである。
一人ずつ簡単に紹介して行こう。
「トリオの圧倒的ブレイン」・後藤拓実
先程から何度か名前を挙げているが、四千頭身は確実に彼が主軸でありこれから四千頭身が売れるかのキーマンであるだろう。
独特の喋り方でどこかミステリアスな雰囲気を纏った後藤。
先輩に平気で噛み付くその姿は只者ではない何かを感じさせてくれる。
彼の魅力はそのテレビやライブでのイメージとは「かけ離れた」、ラジオで見える素顔だ。
都築は後藤の性格を「とてつもない寂しがり屋」と称している。
人を寄せ付けないタイプかと思いきや、実は人懐っこく特に同メンバーの都築とはすぐどこかに遊びに行こうとするなど広く交友を持つというより好きな人にはトコトン甘えるタイプな後藤。心を開いた相手へのギャップがとにかく可愛らしい。
ラジオでは漫才とは違い、小さいボケを連発する。そのしょうもなさがまたトリオのユルい雰囲気を増長させている。
そして何にも動じないように見えて実は滅茶苦茶動じるタイプというのがまた可愛らしい。
「AI-TV」の最終回前に放送された「レギュラー争奪戦」にて、惜しくも事務所の先輩であるハナコに負けてしまった際、後藤は悔しさのあまり泣き出してしまうという珍事件を起こしている。
また若者らしくエゴサーチを欠かさない三人の内、一番視聴者の評価に敏感であるのは彼、後藤である。
ストイックで天才かつ努力家な彼を応援せずにはいられないだろう。
「トリオの弄られムードメーカー」・都築拓紀
特徴的な顔とどこか憎めないお馬鹿キャラ、クラスに一人は居た皆から愛されるお調子者担当の都築。
四千頭身としてテレビ等に出る際、まず開口一番良い意味でも悪い意味でもやらかすのは彼だ。
私は個人的に都築を一番推しているのだが、彼の魅力はなんと言ってもその若さと若さ故の危うさである。
まずその趣味、「あひるの空」「NARUTO」といった漫画や「大乱闘スマッシュブラザーズ」等のゲームととにかく世代が若い。
その最たるものが「YouTube」だ。
都築はYouTuberが大好きで自らの公式アカウントでもYouTubeの話をしたりなど、フォロワー400人くらいの男子高校生みたいなツイートをたまに投稿する。とても微笑ましい。
そして都築はとにかく愛されている、後藤に。
ラジオでの後藤のメンヘラトークは目を見張るものがある。後藤から注がれる重〜い愛にタジタジになる姿は最早恒例化している。
また三人の中では一番先輩との交友関係が広くよく飲みに出かけている印象がある。流石の愛されキャラだ。
都築はこのように憎めない愛らしさが持ち味であるが、私は彼がこの後四千頭身が安定して売れて行けるかのカギだと考えている。愛と同時に批判も集めやすい彼をどう相方達が律して行くか、愛されないポイントをいかに無くして行くかがこれからの課題だろう。国民的に愛されるキャラクターになる素質は確実にある、都築のこれからに期待だ。
「トリオの静かな見守り役」・石橋遼大
ネタでもラジオでもあまり前に出て喋ることの無い石橋。
所謂「空気」キャラの石橋はそのキャラにも関わらずファンからの根強い人気があり、四千頭身一番の人気を誇っている。
中肉中背、趣味は散歩。
21歳の若手芸人とは思えない落ち着きと真面目そうな風貌、いつも一歩引いて相方二人の掛け合いを見守る姿が印象的な石橋。
私生活も見た目通りしっかり者ならしく、常に待ち合わせには15分前行動を心懸け、飲み潰れた相方二人の介抱もよく任されている。
その誠実さは間違いなく彼の人気の一端を担っているだろう。
そして彼の謙虚な姿勢も好感を誘う。
がめつくない、そんないい意味で芸人らしくない姿が女子達の心を擽るのだろう。
トリオ結成前後藤と都築は別トリオで活動していた期間もあったりするからか特別仲が良いため、プライベートだと石橋抜きで遊びに行かれてしまう事が多々あるがそこを特に何でもなく当たり前のように受け流してしまう優しさ(?)。
後藤にいくらお笑いセンスを全否定されてもへこたれず何一つ文句を零さない優しさ(?)。
都築には完全に舐めた様子でいじりまくる一種の優しさ(???)。
自由奔放な二人を同い年ながら大人っぽく見守ってくれている石橋はトリオに欠かせないポジションである事は間違いないだろう。
四千頭身の魅力が少しでも伝わっただろうか?
彼らに興味を持っていただけたならば是非ライブに足を運んで頂きたい。
彼らは主に
企画ライブ「ペペロンチーノ」
ネタ&企画ライブ「ブレナイ」
ネタバトルライブ「若武者」
等に出演している。どれも2000円以下、ないしは1000円程度で見られるライブもある。気軽に見られる価格帯のものばかりだ。
また現在は月一で四千頭身企画ライブ「ミセナイナミダハ、きっといつか」を開催している。
彼らのユルさが詰まりに詰まったとても楽しいライブだ。
まだライブに行くのはハードルが高いという方は是非彼らの公式YouTubeチャンネル、「YonTube」を見て頂きたい。
ただのネタ動画だけではなく、7分縛りのユルーい企画動画や恐らく業界初のVR漫才といった新たな試みも見る事が出来る。
魅力的すぎる四千頭身、彼らのこれからの活躍に是非期待して頂きたい。